丸森のボランティア足らない件とバスツアー状況から感じたこと

丸森町

台風19号で被災した丸森町は、災害発生後1か月近くが経過しましたが、道路寸断地域を中心にいまだに片付けが始まっていない、あるいは進捗が取れない地域が多数あります(2019/11/5現在)。とくに、ボランティアが足らず危機的状況、と発信する丸森町社共は、ほかの自治体ボランティアセンターよりも危機感をにじませていました(10月31日現在)。

今回は超広域災害のため、県外からの支援はのぞめないのではないか、というのが、せんだいみやぎNPOセンターなど、仙台地区、宮城県地区のNPO支援連絡会議で災害発生時から出ていた懸案でした。

阿武隈川流域、とくに上流の河川の氾濫が多かった印象から、ボランティアが足らない自治体は、丸森町周辺にドーナツ状に点在しています。このことから、このドーナツ状の外郭自治体にボランティアがすべて向かってしまい、丸森町にまでとどかないのではないか?と仮説を持ったので、ここに検証してみたいと思います。

超広域災害

丸森町被災状況にもまとめていますが、台風19号の被災地域(非常災害指定自治体)は1都12県、自治体数は376にものぼります。

【岩手県】14市町村
【宮城県】35市町村
【福島県】55市町村
【茨城県】30市町村
【栃木県】21市町村
【群馬県】30市町村
【埼玉県】48市町村
【東京都】28市区町村
【神奈川県】19市町村
【新潟県】3市
【山梨県】20市町村
【長野県】43市町村
【静岡県】2市町村

詳細自治体リストは、PRSTFの丸森町被災状況にまとめています

丸森町被災状況
丸森町の被災状況をデータで確認。

東北は、太平洋側で川沿い

各県、宮城、福島の被災状況をみてみましょう。

各自治体の白地図に、非常災害指定(黄色)、災害ボランティアセンター(VC)が立ち上がった自治体(水色)、災害VCのうちボランティアが足らなくて広域から支援を募集宣言した自治体(赤色)10/31現在と色分けしています。




これに、栃木を加えてみます。

丸森町を囲む重篤な被災地:いわき、郡山、石巻

これらを日本地図どおりつなげてみると、何がみえるのか。

北は、石巻、大崎、角田が、南は南相馬、川俣、郡山、いわきと、ボランティアを必要としている自治体がたくさんあります。福島県側の隣町はほぼボランティアを求めている状況でした。

となると、ボランティアはこれらの自治体に吸い取られてしまうのではないかと思ったのです。その目安となるのをさがしてみたところ、遠隔地に行くボランティアバスツアーに目がとまりました。この状況はどうなのか。

11月1日以降飛躍した丸森町

全社共災害ボランティア募集状況や、独自調査、Facebookコミュニティ「丸森【被災・復旧】情報共有グループ」に10月27日から11月10日に寄せられた情報ををもとに、どこからどこにボランティアバスが向かったかを地図上にプロットしてみました。

全社共災害ボランティア募集状況
https://www.saigaivc.com/typhoon201919/
宮城県災害VCセンター
https://svc.miyagi.jp/index.php?module=blog&eid=20864&aid=22276

ちょっと、ファイルが大きくなりすぎたので、PDFでまとめています。一部はアイキャッチ画像のとおり、こんなかんじです。

意外といろいろなところから丸森町目指してツアーが流入しています。丸森は3連休後に勢いが増した感じです。

この集計では、長野県分は集計していませんが、こちらは東西南北周辺の県からまんべんなくボラバスツアーが組まれています。東西南北まんべんなく、ではなく、山形と仙台に大きなパイプを持ったことが、丸森は成果になっているのかな、と思えるデータ結果でした。

よくわからないツアーの理由は「災害連携協定」

近くの自治体に行かずに遠くの自治体にボラバスを出す社共も結構ありました。

福島→南相馬(地理上は丸森や川俣町のほうが近い)

酒田→大崎市(少し足を延ばせば?石巻)

これらは平時に自治体同士で災害時にお互いのサポートをする災害連携協定を結んでいたか、いないか、でした。丸森町は、北海道など遠い地域との連携か、角田や亘理など阿武隈川沿いの自治体との協定を結んでいます。今回は阿武隈川流域の自治体は軒並みやられてしまったので、この連携協定にもとづく近場からの支援はまったく期待できない事態に陥ってしまったのです。

大きな人口地域からの需要は、南部の被災地が持っていった

さらに、「やっぱりな」という結果もあります。

新潟からの支援はほぼすべて郡山市へ。いわき市と郡山市には関西からのツアーも

栃木県佐野市など周辺被災地域は関東平野、新潟、関西とまんべんなく受け入れ

やはり、南部の人口密集地から丸森まで来るバスツアーはなかった状態です。

被害の軽かった地域がひと段落して一変しそう

被害の軽かった地域が、災害ボランティアセンターをクローズしていくと、人々の目はいまだ復旧が進まない地域に少しは目が向くようで、、丸森町にも11月の3連休以降、東京から3本など遠隔地からのボラバスツアーが少しずつ企画されるようになりました(今回のリストには記事執筆時点で実施されていないのでプロットしていません)。

ボラバスツアーを支援する気があるか?で企画数に差が出そう

単純に「来てください」というだけのアピールは、はっきり言ってひとりよがり。長駆して支援に来てもらうボランティアは、費用・体力・時間・その人の機会などさまざまなリスクと犠牲の上に成り立っているのでは、とわたしは思います。これを軽減する措置をとっている自治体もあります。岩手県社共が行っている、ボランティアバス助成です。似たような企画を組み、自分たちのところに支援に来てもらう、というアクションがあってもいいのではないでしょうか。

◆岩手県社会福祉協議会、台風第19号災害ボランティアバスに対する助成

http://www.iwate-shakyo.or.jp/cgi-bin/news.cgi…

by 岩手県社会福祉協議会

最大金額・助成率:下記参照

対象:岩手県内で台風第19号災害に伴う土砂出し等のボランティア活動を行う、原則として県内の企業、法人格のある団体、学校、労働組合及び活動実態のある任意団体

募集期日:11月30日

概要:台風第19号災害において被災した県民の生活再建を進めるため、支援を行う災害ボランティアを輸送するボランティアバス運行団体等にバス借上げ費用等の一部の助成を行う。

(1)企業・団体・学校等がバスを借り上げる場合(1団体3台まで申請可)

① 大型・中型バス1台当たり10万円を上限とする
② 小型マイクロバス1台当たり7万円を上限とする

(2)企業・団体・学校等が所有するバスを運行する場合(1団体3回まで申請可)

① 大型・中型バス1回の運行につき定額を助成

片道距離が 50㎞を超える場合10,000円
片道距離が100㎞を超える場合20,000円
片道距離が150㎞を超える場合30,000円

② 小型マイクロバス1回の運行につき定額を助成

片道距離が25㎞を超える場合 5,000円
片道距離が50㎞を超える場合 7,000円
片道距離が70㎞を超える場合10,000円
片道距離が100㎞を超える場合15,000円
片道距離が150㎞を超える場合20,000円
*さらに詳細条件あり。HPで確認必須

助成実績:不明

*助成は基本的に岩手県内で実施することのようです。ボランティアが足らない、と報じられている各地の社共さんは、この制度を参考にボラバス運営がしやすい環境を、ほかの助成金を財源に作ってみてはいかがですか?という意味で掲載します。

↓その財源に応じてくれそうな助成金一覧

◆[11/25まで] 赤い羽根共同募金:令和元年台風 19 号に伴う 災害ボランティア・NPO 活動サポート募金助成事業

https://www.akaihane.or.jp/…/5805aff3b3e032296873942056791a…

by 社会福祉法人中央共同募金会
最大金額・助成率:最大50万円 100%
対象:NPO、ボランティアグループ(5人以上、事業計画書、予算書など組織概要まとめたものが必須)
募集期日:11月25日(郵送必着
概要:10月12日以降の①緊急救援活動と②生活支援活動に対する費用。バックデート可能。ほかの団体からの基金と併用可能(ただし、会計処理で明確に分離できること)

助成実績:台風19号に寄せられた寄付総額からねん出(総額非公表)

◆[11/12まで] 日本財団:令和元年台風19号等の被害に関わる活動支援

<支援者を応援する助成>

https://www.nippon-foundation.or.jp/grant_ap…/…/2019tyhoon19

by 日本財団

最大金額・助成率:100万円、100%
対象:非営利活動を行う団体(詳細あり)
募集期日:2019年11月12日
助成実績:不明

基礎データが不明すぎて、正確な集計ができない奇妙さ

これらのデータは、ほんとうは報道発表向け、政治家への提案向けの資料を想定していました。しかし、以下の被災データが簡単に抽出できない残念さが、多くの自治体に見られ、資料としての信ぴょう性を確保するに十分でない内容と判断したので、今回は公開範囲をこのブログのみ、としたのでせっかくまとめたものがまったく役に立たない「がっかり感」満載です。

そもそもの自治体ごとの被災状況リストのフォーマットがない!

特に難儀したのが床下浸水、床上浸水などボランティアを必要とする被災状況の自治体ごと全リスト。
→ 県単位でまとめたものは、各県の災害対策本部HPに「PDFで」まとめられていますが、キロバイトが大きいものばかりで、どちらかというと自治体の内部資料という体裁。被災者にダイレクトに関わることを抽出し、まとめたところはほとんどありませんでした。被災地で避難所で見るには、PDF化はあまりにも不親切。

また、自治体単位でフォーマットがばらばらで、自分たちさえわかればいい感満載あふれる資料ばかりで、いらいらしました。

ボランティアセンターが根拠となるデータ提供を十分にしていない

今回のプチ調査で、丸森をはじめとする各地のボランティアセンター、実際には毎日どのくらいの件数の需要があって、どのくらいまで対応できていたのか、というのが一般レベルでまったくわかりません。日ごとに実績を公開しているところもあります。毎日公開しているところと、そうでないところもあります。さらに10月31日時点と、3連休後の動向がまるで変ってしまっているケースなども見られます。報道にはそれっぽいレポートも出ています。その情報を見て「ボランティア足らない」の根拠としているのか、と思いますが。。少なくとも被災者、支援者、ボランティアに行こうと思ってくれる人たちが常に見れる状況を作っておくことが必要なのは確かです。

・日々のニーズと対応数の日報データの公開

→ボランティア要請する被災者が「だいたいいつぐらいに入ってくれるだろう」という見立てができ、その他の復旧作業の割り当てを考え、実行できる(=より早い復旧を実現できる可能性につながる)

→ボランティアに行こう、という人が、予定日を検討するのに役立つ。人がたくさんいるときに人海戦術で行くほうがいいのか、足らない時に行ってじっくり支援するほうがいいのか。休日を取るタイミングや、企業ボランティアなど、大規模支援の準備につながる情報提供にもなる

→ボランティアを送る社共にとって、送るからには成果にならないと、次の企画が立てられない(マッチングでむだな時間を費やされた、などは次ないかも)。

 

「ボランティア足らない」というなら、その根拠を示せ、と突っ込まれます。その根拠が出ていない時点で「ボランティア足らない」で大丈夫なのか?

報道機関などにその状況をアピールするならば、相応の資料をそろえなければ、客観的視点に基づく社会の目を動かすことは不可能。今、たくさん報じてもらえてますが、その内容に根拠が伴わなければ、それは検証され、場合によってはネガティブ報道にスイッチされてしまいます。

さらに制度そのものを変えてしまう力のある政治家にアプローチする場合には、もっとシステマチックでわかりやすく詳細な資料をまとめなければならないのです。さらには、当事者に相応の供給ができるのか、という

丸森の「ボランティア足らない」を確実な成果を伴う改善につなげるには、現地で集めなければならない情報とまとめにもっと心を砕くべきだ、というのも痛感した調査になりました。

 

 

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