丸森町:災害ボランティア活動の切迫度合と情報発信の重要性

丸森町ボランティア募集・応募

丸森町の災害ボランティア活動は、10月19日から雨天を除いて毎日実施している。その活動記録、公開したりされなかったりと、かなりモヤモヤさせられている。今回は、ボランティア参加者やボランティアセンター公表の数字をもとに実態としてどうなのか、というのを勝手に考察し、勝手に提言をまとめたい。

ボランティア10000人達成?それはそれでいいんですが。。

被災から1か月ちょっと経過した11月18日、丸森町災害ボランティアセンター(VC)は活動ボランティア数が累計1万人を突破しました、と告知しました。「ボランティア足らない!」と言っていた割に「結構行ったんだな」という印象を持った人多数のはず。アピールポイントとして大きなマイナスになってしまったような。実は「まったく足らん!」は継続状態なのですよ。

ニーズ残件数は2019年11月24日現在3ケタです

ボランティア活動状況は、毎日紙に書いて張り出される情報が唯一の公に確認できる情報です。ツイッターなどではたまにその一部情報が公表されています。わたしは「たまに」公表されるなんとも不安定な情報ソースは、これまでとりあげてこなかったんですが、さきの「10000人!」を見て大きな違和感を感じたので、ちゃんとこっちで集計してみました。

まず、実態としてのボランティア活動をとらえてみます。

ボラセンで発表している内容をそのまま転記してみました。ソースはボランティア活動をした人たちのnote報告やツイッターなどで撮影されたこの「紙」に書かれた数字を拾って集めたものと、ボラセン発表の数字を入れていった感じです。

ツイッターなどでは、その日のボランティア参加者数とその日の実施作業数のみ不定期に公開されています。「紙」に書きだされているのはもう少し詳しく、ニーズ受付数と(たぶんその日の)完了数、ニーズ残件数もリストされています。

これを見ると。。。ボランティアは1件につき7,8人。多いときで10人以上が1か所に派遣されているのが推測できます。

活動件数に対して完了数が少ないのも目立ちます。これは1日で作業が終わってないことを意味します。

ちゃんと見なければいけないのは、ニーズ残件数です。11月15日の最新情報では、272件もの残件数があります。別の言い方をしましょう。1件あたり10人近くが数日かかって処理するニーズが272件手つかずである、ということです。

着手率、完了率が低いことの意味するもの

発表されている数値をもう少し集計してみます。ということで、いろいろとくっつけてみました。

着手率:ニーズ残件数に対して、その日作業した件数。100件のニーズに対して10件しか行えていなければ、着手率は10%、ということ。

活動完了率:これは正確ではないですが、当日の活動件数に対して完了と報告されている数で計算してみました。前日、前々日から継続して作業しているものもあるので正確な数字ではないですが、だいたいこんなかんじ、という印象を持つためにはいい計算式では、という意味で。

全体完了率:その日の完了数とニーズ残件数を割り算した単純な計算式です。完了数を累計で出したほうがいいかな、と思ったもののニーズ増加が日ごとに増すので1日単位で区切って数値化してみました。

活動完了率がおおむね20%台というのは、1日で作業が完了できた件数が全体の2割ちょいしかなく、8割ちかくは翌日も作業が必要な案件、ということを示唆しています。

全体完了率は、その日の完了数に対して「あとどのくらい残っているのか」を端的に示す比率です。日によって異なりますが、おおむね2から4%で推移していることがわかります。

たとえば、11月18日現在の残ニーズ数272件は、1件当たりの平均人数8人としても、翌日8704人の来場協力がないとゼロにならないかもしれないのです(活動完了率の平均は25%なので、1つの案件に対して4日の作業がかかると推計するとこういう数字になる)。

クリスマスまでに完了できるかがひとつの試算か

今までのだいたいの平均値から、以下のような感じで条件設定をしてみると、

◆11月24日現在の残ニーズ数を245件とし、
◆土日のボランティア参加数を600人、平日を250人
◆1日当たり5件の新規申し込み。12件の完了
◆雨天中止は1日もない

12月24日にニーズ残件数0になるかな、という予想が立てられます。

ただ、この試算はものすごくあまい試算かもしれません。雪が迫ってくるということは作業環境も寒いですし、参加者増加が見込めるのか。さらに雨天が1日もないことが条件になっています。例年だと年末までに2,3度普通に降雪があったはず。土日必ず600人以上集まるのか、というハードルも高いか。

誰のための情報発信なのか

ずばり、ボラセンの情報発信は誰のためのものなのか、ということを考えてみます。

現在、たまに公開されているボランティア活動報告は、以下の2つです。

当日参加したボランティア数
実施件数

この発信は、よくわかりません。

ボランティアにもっと来てもらいたいならば、着手率や完了率の低さをもっとアピールすべきです。この数値発表は当日のボランティア向け?「これだけ多くの人が来てくれました!」をアピールする狙いにも見えますが。。。それってなんの意味があるんでしょうか?

特にボラセンに張り出されている「紙」のこの集計用紙(?)。ボランティアに来てくれた人向けに作られた、というよりも、運営側で集計しているものをみんなの目にもとまる位置に掲示している、というのが正しいのかもしれませんが、、、だとしたらこの情報をもっと有効活用してもらわないと、って思います。

しかし、この掲示法は、全国標準なのです。

ほかの災害ボランティアセンターも似たり寄ったりです。丸森ボラセンもこの例にならって情報公開をしているんだと思いますが、誰のための情報発信なのかを改めて見てみると、効果的な発信とはなにか、という課題の共有が促進するような気がするのは私だけの視点なんでしょうか。

ニーズ残件数の向こうに、片付けを手伝ってほしい被災家庭があるのだ、という現実から遠い発信に見えます。

11月17日の781人参加

たとえばこの日時の数字は、連休でもなければイベントがあったわけでもない、普通の休日なのにかなりの参加者。数字を毎日見ている側としては大きなインパクトがありました。しかし、残念ながら特段このあたりを強調した発信はないですし、残ニーズ数などの発表もありませんので、次につながっているのか、あやしいところです。

パブリックリレーションズ専門家としてこれに取り組むならこうする

慈善系に広報プロフェッショナルは皆無、と、専門家的見地から言っているのですが、まさにこの状態だと思います。

では、実際にはどうするのか。戦略設定と目標設定を明確にして、メディアミックスを展開します。今回は特別大サービスでその展開案を無償で書いてみます。

注)現実論で書くので被災地に対しては厳しめな内容と取れることがあるかもしれませんが、人間の欲や視点を冷徹な目で観察し、分析することが情報発信では重要です。私は論理的視点に徹して以下をまとめています。

戦略:
国の支援が期待できない以上個人が助け合う状況を災害を通じて醸成し、丸森を起点にそのムードを高め、実際に行動を起こしてもらう。

自衛隊は、帰ってしまいました。

→丸森ボランティアを「わがこと」とするにはこのくらい引いた視点で危機感をあおり連帯を促すキャンペーンにおさめていく必要があります。危機感をあおるのはプロパガンダですが、手法としては王道にあたるので、ここはいい面を活用するという視座でとりいれます。
*丸森を訪れたボランティアたちの報告には「津波にあったようだ」という表現が目立ちます。この表現は東日本大震災を経験した人たちの心に刺さるキーワードです。

 

キーターゲット:
支援に加わりたい全国にいる個人(ある程度の富裕層・何らかの得意技を持つ人)
「ある程度」が重要です。私は超遠隔地からボラバスでやってくる支援は感心しないと思っています。1人3万円近く支払って6時間くらいの泥かきだしは、割合としてどうなのか、と。初動では重要ですが(たとえば台湾からわざわざ来てくれた活動は初動だからこそ大きなインパクトを与え、距離を理由に支援の手すら動かさない人たちを改心させたという意味では非常に重要でしたが)、遠くから募集しすぎるのは経済構造上よろしくありません。

超遠隔地の人には、ボランティアをしないかわりに資金や支援物資を支援団体に贈る。費用ひとりあたり3万円かかるなら、3万円で建設業者を1日雇ったほうがいい、というような視点移動を促す。その支援の団体も名乗り出るように発信をする。

遠隔地の人にはボランティアバスの企画・運営・参加も視野に入れる選択肢を与える。同時に各地のコミュニティで防災意識の共有をしてもらい、より大規模な集団ボランティア活動の芽(=企業ボランティア実施)を育てる。これは丸森に限ったことではなく、自らが所属する地元が同じ目にあったとき、どう動くべきか、という考えを持ってもらうという視点で発信を考えるのです。とりくみを日々発信することで、その基礎を「知らないうちに」それぞれの人たちに植え付ける、という発想が必要になります。

遠隔地からの多数のボランティア参加を通じて、丸森町周辺自治体の活動を促す。自分たちのところが終わったらおしまい、ではなく、次に支援が必要としているところはどこか、ということに目を向けさせ、活動を継続してもらう。先にあげた「じぶんごと感」「地元が同じ目に遭ったら」という視点ができていれば、「自分のところが終わったらおしまい」には絶対にならないはず。

メディア展開:

報道機関(全国紙・ブロック紙・NHKなど放送局):
活動報告を通じて惨状をレポートしてもらう。ひどいところを徹底的に切り取ってもらいます。丸森ボラセンの発表に、これらを徹底的に載せていきます。日々のボランティア活動にカメラマンのボランティアを数人まぎれこませ、現場を写真と動画で毎日報告してもらう(もちろん防犯上の処理を施したうえで)。OPEN JAPANが連日報じているくらいの活動報告でも可能ですが、泥かきだしが大変、というような特定テーマに絞り込みを1記事ごとに行うことで、重機ボランティアを集めたり、高圧洗浄部隊を募ったり、と作業効率アップのための注意喚起をしていくことにもなる

SNSの継続告知、政治家・企業ボランティア実績のある企業にロビイイング

本部ベースでは日々の統計を徹底的に活用し、町議、県議、国会議員に現状報告を送り付けますwその上で「雪が降るまでにこの家の作業を完了させないと、この家は在宅避難なので凍死の可能性がある」というようなケースを特定してアピールし、必要な法的対応や立法など、制度変更を促す活動をしながら、継続して危機感を持たせる動きをする(こういうことができていれば11月15日に災害対策本部がなくなるなんてことはなかったはず)。また、客観的データがあればあるほど、組織だった支援取り付けは容易になります。組織が動くには大義名分が必要です。その大義を与えるのは情報の数であり、大義と判定する基準をたくさん与え続けることなのです。これは個人に行動を促すのにも共通していますよ。

情報発信は多面的展開が基本です

慈善に広報担当者がいたら、と常に思います。ひとつのボランティア活動にはたくさんのストーリーがあります。そのすべてを探り出し、公表してもばちあたりにはならない価値のものばかりです。すべてを探り出すのはむずかしいものの、戦略にのっとってどのようなものを抽出すればいいかがわかるだけでも、発信する意義と価値を自発的に考えることができるようになるはず。

支援団体のほとんどは、自分たちの取り組みを伝えるだけしか考えが至らないですが、参加する人たちのバックグラウンドやその参加を通じて得られた相乗効果、周辺への影響などもネタは尽きないし、かつすべてが善意ベースのものなので安心して出せるはずなのですが、残念ながら活動報告すら出てこない団体が多すぎます。

単に数字を発表しているだけでは善意は長続きしないし、価値が広がらない。

ターゲット設定を今すぐ変えて、戦略を例のように定め、特定の情報を通じてニーズを掘り起こし、適切な人や支援団体に善意を実現してもらう誘導をする。仕事はたくさんあるのです。

丸森ボランティアにそれが求められていて、それが実現できれば、情報発信モデルとして全国に標準をつくることができるかもしれませんね。

まず、毎日ちゃんと発信する

たくさんの人に来てもらいたいならば、最低限の礼儀として自分たちが公開できることをまずやるべきです。

ボランティア数
実施件数

これらは現在公開している数字ですが、紙にまとめているすべての情報を掲載し、わたしがしたような分析を促すべきでしょう。

ニーズ受付数
完了数
ニーズ残件数

「ボランティアが足らない」は、確かにいいですが、どのように足らないのかがわかる証拠を示し続けなければ意味がありません。言動の一致は信用度を高めます。

まずは「足らない」をしっかりと示すデータと姿勢(毎日発表する)が必要ですね。

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