台風19号:内閣が実施した非常災害対策本部会議(第 18 回)議事録から災害対策の全貌を知る

支援・復興・発展の助成

令和元年(2019 年)台風第 19 号非常災害対策本部会議(第 18 回)議事録」を、改めてまとめてみます。見方としては、内閣総理大臣発言が、この会議の全体のあらましを語っているので、まずそれを読み、政府対応状況報告→各省庁が報告した復興対策パッケージについて知るのがよいでしょう。内容をそのまま転記してみます。

1.政府対応状況等報告

(防災大臣)
(1)インフラ復旧や大量に発生した災害廃棄物の処理等が確実に進んできている
(2)水道は最大16万6千戸が断水していたがおおむね解消されている。
(3)決壊堤防128か所中125か所の仮堤防が完成。地元自治体から要請あった河川・道路・砂防で国が復旧工事を代行中
(4)罹災証明書を速やかに交付するよう努力中。被災地域全体で8万棟を調査し1.8万件で交付した
(5)仮設住宅
・公営住宅等への入居1400戸
・民間賃貸住宅を借り上げた応急仮設住宅への入居
・仮説住宅の建設開始(長野、宮城、茨城)

→それ以外の地区は、すでにある公営住宅の空き物件や民間借り上げ住宅による補てんでまかなっている(特に福島は東日本大震災後建設した仮設住宅を再利用などしている)

→長野県のケースでは、仮設入居希望者が想定の半分にとどまった。これは、「仮設住宅」と「みなし仮設」の両方を同時に申請することはできず、かつ仮設住宅は申請多数の場合は「抽選」になり、外れることもあったことから、被災者は申し込み後決定が出やすいみなし仮設に流れた、と記事はまとめています。募集の段取りで、快適な生活再建環境を提供しよう、という考えが働かなかったのか、と指摘しています。

(6)ボランティア11.7万人参加も被災地ではまだ必要

→全国社協の全社協被災地支援災害ボランティア情報のページでは、最新の各被災地ボランティア募集状況をチェックできる。11月25日現在も、いわき市、丸森町、長野市は広い地域からのボランティア参加を求めている

2.復興対策パッケージについて

(国土交通大臣)
(1)廃棄物・土砂の撤去は生活圏内からの年内撤去を目指す
(2)住宅再建
・応急的な住まい:空室状況を一元的に把握・提供
・恒久的な住まい:住宅金融支援機構の低利融資などにより、確保促進進める
(3)観光需要喚起に向けた対策
・被災地域における旅行・宿泊料金の割引
需要回復プロモーションを実施する
(4)公共土木施設等の応急復旧等
・河川・道路等の災害復旧事業等を迅速に実施
・二次被害が懸念される土砂災害発生箇所の早急な対策、河川のごみ土砂の除去、被災した河川等の改良復旧を実施する。
・高度な技術等を要する復旧工事の権限代行、災害査定の効率化、テックフォースによる技術的支援を実施する。
(5)地域住民の交通手段の確保:
・被災した鉄道事業者の早期復旧を支援
・地域鉄道事業者が行う代行バスの運行経費に対する支援も実施する。

→阿武隈急行の復旧について、村井宮城県知事は11月25日の記者会見で後ろ向きととられる発言をしています。

 

11月25日宮城県知事定例記者会見:阿武隈急行の丸森-槻木間における運転再開について

 

阿武隈急行の決算(H30年度)

 

(6)情報収集:国土交通省においては、これまで、自治体に派遣しているリエゾン等を通じて、タイムリーに被災者・被災地のニーズを把握し、地域に寄り添った支援を進めている

→11月25日現在、リエゾンの活動状況がまとまっている様子は国交省HPなどで確認できていない

(環境大臣)
(1)台風15号、19号については半壊家屋の解体費用も補助対象に追加する。
(2)防衛大臣と長野に視察での感想:寒くなってきており降雪を懸念。広域処理の加速化の必要性を感じた

(厚生労働副大臣)
(1)生活再建:
孤立防止のための見守りや日常生活上の相談支援・心のケアを実施する
医療や介護等の保険料や利用料等の減免を行った保険者への財政支援を行う
・社会福祉協議会の生活福祉資金貸付の緊急小口資金の対象を被災世帯にも拡大する
(2)生業の再建:
・今回の災害で休業を余儀なくされた事業主に対して、雇用調整助成金の特例措置を実施した
(受給要件を緩和するとともに、助成率の引上げ等を行う)
労働者が休業し賃金を受け取ることができない場合等についても、雇用保険の基本手当を支給する
(3)災害応急復旧:
・医療施設や社会福祉施設、水道施設等の原形復旧等に要する費用に対して、激甚災害として一定の補助割合等をかさ上げして補助を行う
・災害査定に要する業務や期間等の縮減を図り、迅速に実施する

(農林水産副大臣)
(1)農林水産業被害 (11月6日現在)総額3,007 億円
(2)大臣以下、現地入りし直接ヒアリング
・農地の浸水、農業産品・機械の水没により、きわめて厳しい経営状況になる可能性が高く、先が見えないとの話があった。
これらの声を踏まえ、今般の生活・生業再建支援パッケージには
1)りんごやもも等の果樹については、面的な改植や未収益期間が長いことを考慮し、収入確保の取組を支援する。
2)浸水被害を受けた米については、常総の事例も踏まえ、将来に向かって営農を継続するための取組を支援する
3)冠水した農業用機械等の修繕・再取得についても、中小企業庁とも連携しつつ、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の補助率を2分の1に引き上げて農家負担軽減を図るなど、台風第 15 号で打ち出した支援策からさらに踏み込んだ対策を盛り込んだところ。
(3)周知活動
・離農することなく一日も早く経営再建ができるように全力で取り組む

(経済産業副大臣)
(1)中小企業向け支援について
・特に被害の大きい宮城、福島、長野、栃木で、被災事業者がグループを形成して、工場・店舗等の施設や機械設備などの復旧を行う際に、その費用の4分の3を補助する「グループ補助金」を措置する
・生産機械や車両の購入・店舗改装、事業再開時の広告宣伝など、様々な費用を補助する「持続化補助金」について、先に述べた4県は上限 200 万円、その他の被災県では 100 万円を補助する
・これらの補助金について、東日本大震災からの復興途上にある宮城県、福島県の被災事業者の負担を実質的にゼロとする
・また、グループ補助金の対象とならない地域への手厚い支援も重要で、被災自治体が被害の状況に応じてグループ補助金に劣らない支援を行うことができる「自治体連携型補助金」を新設する
・被害が甚大な市町村を抱える県については、国の補助を引き上げる
商店街の改修・賑わい回復支援や金融支援など、幅広く活用できる支援策を措置
・周知が重要で、中小企業庁等の職員を被災自治体に派遣しており、明日から支援策の説明会を開始する。
被災自治体や現地の商工団体とも連携し、被災事業者の個々のニーズにあわせて支援策を提示していく「寄り添い型」で実施し、被災事業者の一日も早い事業再開に向けて全力で取り組む。

→提言をまとめればまとめるほど対応してくれるかも?

 

(財務大臣)
(1)被災地の生活と生業の再建に向け、本日とりまとめられた「パッケージ」をできる限り速やかに実施する必要がある。
・第1弾として明日8日、閣議で1,316 億円の予備費の使用を決定させて頂きたい。
具体的には、
①廃棄物・土砂の撤去や、住宅の再建などの「生活の再建」、
②中小・小規模事業者の復旧等を支援する「グループ補助金」や農林漁業者の支援、観光需要の喚起に向けた対策といった「生業の再建」、
③災害復旧の迅速化や二次災害の防止、
④避難所・仮設住宅の供与や自衛隊の災害派遣活動
など、直ちに予算上の手当てが必要となる経費について措置することとしたい。

(2)引き続き、被災者の安心感を確保するとともに、被災自治体が安心して復旧・復興に取り組めるよう、切れ目なく、財政措置を講じてまいりたい。

3.内閣総理大臣発言

(内閣総理大臣)
○台風第 15 号に伴う災害からまもなく2か月、第 19 号に伴う災害からまもなく1か月が経過する。一連の豪雨や暴風は、東北、関東甲信越を中心とした広範な地域において、多くの人命や住家への被害のほか、ライフライン、地域の産業等にも甚大な被害をもたらした。

○現在、被災自治体等と一体となった懸命の復旧作業により、生活インフラの復旧や、災害廃棄物の処理等は着実に進んできているが、それぞれの被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえたきめ細かな取組を更に加速させていく必要がある。そこで、今般、「被災者生活支援チーム」の下で、関係省庁が一体となって、一連の災害による被災地の生活再建と生業の再建に向けた対策パッケージを取りまとめた。

○具体的には、
・応急的な住まいの確保に加えて、日常生活に支障をきたす程度の「一部損壊」の住宅被害についても、新たに支援対象とするなど、被災者の方々のニーズに応じた住宅再建等の支援、
・宅地内や街中の廃棄物、土砂について、年内を目途とした生活圏内からの撤去、
・地域鉄道の代行バスの運行や被災鉄道の復旧への支援をはじめとした、地域住民の方々の交通手段の確保、
・中小企業等が明日への希望を持って事業再建に臨めるよう、「グループ補助金」等による寄り添い型支援、とりわけ、東日本大震災からの復興途上にある事業者に対する手厚い支援制度の創設
・農林漁業者の方々の一日も早い営農再開のために、被害を受けた果樹の植替えや農業用機械等の早期復旧支援をはじめとした総合的な対策の実施、更には、
・観光需要喚起のため、災害によるキャンセルが発生している被災地域の旅行・宿泊料金について、1人1泊当たり5千円の割引など、被災自治体等からの要望にも、しっかり応える緊急対策としている。

○これらの対策を直ちに実施する観点から、その第一弾として、1,300 億円を上回る予備費の使用を、明日、閣議決定する。
各位にあっては、今なお、困難な状況におかれている被災者の方々に思いを致し、被災地の生活再建と生業の再建に向け、本対策パッケージを直ちに実行に移していただきたい。

○政府においては、今後とも、顕在化する課題には、スピード感をもって万全の対応を取っていく。切れ目なく財政措置等を講じることで、被災自治体と一体となって、被災地の復旧・復興に全力を尽くしてまいる。
(以上)

→内閣総理大臣発言でとくにキーワード発言している部分は、肝いり用件とみなしていいかと。

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